神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
しまいには、相手の足を踏んでしまった。

「すみませんっ!」

私は謝った。

すると仮面の紳士は、私の耳元で囁いた。

「そんなあなたも可愛いですよ。」

ふと見ると、見覚えのある髪。

「もしかして……」

「バレました?ユリオです。」

仮面をつけたまま微笑むユリオの姿に、私は目を見張った。

黒髪が月光に照らされ、まるで王子様のよう。

「もう……驚かせないでください。」

「すみません。でも、こうでもしないと、あなたを誘えなかった気がして。」

ユリオの言葉に、胸が少しだけきゅっと締めつけられる。

彼は、私を“聖女”としてではなく、一人の女性として見てくれている。

「あなたは、いつも優しいですね。」

「いえ。僕は欲張りなんです。……エミリア様の隣に、誰も立たせたくないと、そう思ってしまう。」

「えっ……?」

突然の言葉に、思わず顔が熱くなる。

でもその時、曲が変わった。

「……最後にもう一曲、どうですか?」
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