神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
そして、誰もいない廊下を曲がり、奥まった扉を開ける。

「ここ……?」

私は戸惑って足を止める。

「使用人の部屋。でも、今は誰も使っていない。」

そう言って、彼は私を中へと誘った。

中には簡素なベッドが一つだけ――けれど、不思議と安心感があった。

ドアが静かに閉まり、鍵が掛けられる音。

次の瞬間、彼の腕が私を抱き寄せた。

「……エミリー。」

そう囁く声とともに、優しく唇が重なった。

キスは深くなり、身体ごとベッドへと倒れ込む。

彼の指先が、静かに私の背に触れ――

ドレスのリボンがほどけていく。

「初めてなんです……」

私の声が震えた。

けれど、彼はその不安を包み込むように囁く。

「大丈夫。無理はしない。でも、今夜だけは……君を感じていたい。」

少しずつ、少しずつ。

服が脱がされていくたび、胸の奥が高鳴る。

誰かに肌を見られる――

そんなこと、これまで一度もなかった。
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