神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
まるで、ずっと前からそう在るべきだったように、自然にそこにある。

私たちは、見つめ合った。

「えっ……レオが王で……」

言葉が喉で詰まる。

「王妃は……エミリア?」

途端に、胸が熱くなって、私は視線を逸らした。

レオに背を向け、震える声でつぶやく。

「レオは、いずれ王になるから……分かるわ。でも、私が王妃なんて……」

――似合わない。
――恐れ多い。
――聖女と呼ばれても、本当はただの私なのに。

そんな不安や自信のなさが、言葉にならないまま胸を塞いだ。

すると、背中からそっとレオの腕が回される。

優しく、でも強く。

「君しかいないんだ。」

「え……?」

「エミリア。君の名前が指輪に刻まれていたのは、偶然じゃない。あの光が選んだんだ。……俺の王妃として、君を。」

耳元で囁かれたその声は、震える心をまっすぐ包み込んだ。

「でも私、王妃なんて……何もできない……」
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