野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)
尚侍様はお返事を書きにくそうになさっている。
恋心をうっすらと匂わせる面倒なお手紙な上、隣では堅物な夫君がこちらを気にしていらっしゃるのだものね。
「私が書こう」
右大将様が代わりに筆をおとりになるのも憎たらしい。
「大人になるまで探し出されなかった人だと聞いています。源氏の君からも内大臣様からもそれほど大切にされていたとは思われませんのに、いったいどなたにお返ししたらよいのでしょうか。ご機嫌がお悪いようで驚いております」
「右大将は相当調子に乗っているらしい。冗談を言ってよこすとはめずらしいことがあるものだ」
源氏の君はお返事を読んでお笑いになったけれど、内心ではたいそう憎くお思いになっている。
恋心をうっすらと匂わせる面倒なお手紙な上、隣では堅物な夫君がこちらを気にしていらっしゃるのだものね。
「私が書こう」
右大将様が代わりに筆をおとりになるのも憎たらしい。
「大人になるまで探し出されなかった人だと聞いています。源氏の君からも内大臣様からもそれほど大切にされていたとは思われませんのに、いったいどなたにお返ししたらよいのでしょうか。ご機嫌がお悪いようで驚いております」
「右大将は相当調子に乗っているらしい。冗談を言ってよこすとはめずらしいことがあるものだ」
源氏の君はお返事を読んでお笑いになったけれど、内心ではたいそう憎くお思いになっている。