野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)
右大将(うだいしょう)様の前のご正妻(せいさい)は、月日が()つほどに思い悩んで、ついに()けてしまわれた。
右大将様は経済的な面倒はみつづけているし、男のお子たちのこともかわいがっておられるから、ご正妻はぼんやりとされるがままになっていらっしゃる。
男の子だけでなく真木(まき)(ばしら)姫君(ひめぎみ)にも会いたいとご希望なさるけれど、式部卿(しきぶきょう)(みや)様はけっしてお出しにならない。

まだ十二、三歳の姫君は、心細くて悲しく思われる。
宮家(みやけ)の方々が父君(ちちぎみ)の悪口ばかりおっしゃって、ご自分から遠ざけようとなさるのだもの。
しかも弟君(おとうとぎみ)たちは今までどおり父君のお屋敷で暮らしておられる。
宮邸(みやてい)へやって来ると、継母(ままはは)になった尚侍(ないしのかみ)様のことを話されることもある。
「私たちのことをかわいがってくださいます。一日中おもしろい遊びをなさっているのですよ」
などとおっしゃるから、姫君はうらやましく、
<いっそ男の子に生まれたかった>
とお思いになる。
尚侍様のためにいろいろなところでいろいろな方が物思いしていらっしゃるのね。
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