野いちご源氏物語 三一 真木柱(まきばしら)
尚侍(ないしのかみ)様は十一月にはとてもかわいらしい男のお子をお生みになった。
<思いどおりの幸せだ>
右大将(うだいしょう)様は大満足でこれ以上ないほどのお世話をなさっている。
そこはもうご想像にお任せしましょう。
ええ、そのとおりのにんまり顔よ。

内大臣(ないだいじん)様も、<よい運命になった>と安心しておられる。
今ではすっかり親しい姉弟(きょうだい)の仲になられた内大臣様のご長男は、美しい甥君(おいぎみ)にお会いになった。
<結婚せずに(みや)(づか)えをしておられたら、(みかど)皇子(みこ)をお生みになっていたかもしれない。皇子がいらっしゃらないことを帝は残念そうにしておられるのだから、姉君(あねぎみ)がお生みになっていたら我が家の栄誉(えいよ)だったものを>
今さらどうしようもないことをお考えになる。

尚侍としてのお役目は右大将(うだいしょう)(てい)でなさることになった。
このような状況になったら、もう参内(さんだい)なさるのは難しいわよね。
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