その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜

第3章 ページをめくるたび、彼が近づいてくる

金曜日の夜。待ち合わせ場所に現れた神堂先生は、なぜか不機嫌だった。

「これが、この前の夜の続き?」

私は、バッグから資料の束を取り出して、先生の目の前に広げた。

「はい。この前は――打ち合わせし損ねましたからね。」

あの夜、キスを交わしたはずなのに。

まるで何もなかったかのような先生の態度に、私は仕事モードを貫いた。

先生のこれまでの原稿を読んで、私なりに構成を考え、キャラクターの感情の流れも整理した。

「……うーん、美咲ちゃん。俺の担当になるだけあるね。」

そう言って笑った先生の声に、やっと安堵が広がる。

でも――私は仕事の提案をしに来たわけじゃない。

先生は、覚えていないの? あの夜の言葉も、ぬくもりも。

それとも、あれは全部、小説のネタだったの?
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