野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)上
東宮(とうぐう)様から早く内裏(だいり)に上がるようにとご命令があった。
「ごもっともでございます。初めての皇子(みこ)様なのですから、早くお会いになりたいのでしょう」
(むらさき)(うえ)は賛成して、参内(さんだい)の準備をなさる。
女御(にょうご)様の方はもうしばらく(さと)()がりしたままでいたいとお思いになる。
東宮様のご愛情が深すぎて、次はいつお(さと)に戻るお許しをいただけるか分からないもの。

お若すぎる体でご出産を経験なさって、お顔が少しやせておられる。
「まだご体調が元どおりではいらっしゃいませんから、もう少しゆっくりなさってからでもよろしいのでは」
明石(あかし)(きみ)は女御様を()(づか)うけれど、源氏(げんじ)(きみ)はほほえんでおっしゃる。
「こうしてやつれたお姿も魅力的なものですからね」
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