恋心はシェアできない
夜風がふわりと吹いて私の髪を巻き上げる。
(いま……なんて……)
「……あの日、そう言うつもりだった。でも気持ちを伝えられない……情けない自分に腹が立った」
「え……私が余計なこと言ったから怒ったんじゃなくて?」
「違うよ。俺さ、咲希から松田さんとお似合いって言われてショックで。改めて咲希は俺のこと同期としてしか見てないんだなって思ってさ」
その言葉に私はぶんぶんと首を振った。
「違う……ちが……っ」
「咲希?」
「私は……ずっと、碧生のことが好きだった」
驚いた顔をした碧生がすぐに涙で滲んでいく。
そしてすぐに碧生がスラックスのポケットからハンカチを差し出した。
「えっと、これ使って」
「ありがと……あの……洗って、新しい住所に送るね」
「ぷ。真面目すぎ、てか俺の記憶が正しかったら、俺ら両想いってことでしょ?」
私は涙を拭きながら、目を丸くする。無我夢中だったけれど、確かに碧生から好きだと言って貰えて、私も好きだと伝えた。
「あ、れ……ほんとだ」
「もう会わないつもり? また会えるでしょ?」
「えっと、会え……ます」
「だね」
碧生が長いまつげを下に向けて笑うのを見ながら、私も自然と笑みがこぼれる。
「でも、いいの?」
「なにが?」
「……なんか頭が今、すごいことなってるんだけど……その、私が碧生に好きになって貰える要素が全く見当たらなくて……そもそもタイプじゃないでしょ?」
「誰が言ったの?」
「それはずっと前に、碧生と翔太郎くんが夜、話してるの聞いちゃって……──好きなタイプは可愛いらしくて守ってあげたいタイプ……なんでしょ?」
私の言葉に碧生がこれでもかと深いため息を吐き出した。
「なるほどな……。てゆうかさ、どうせ立ち聞きするなら最後まで聞いて欲しかったけど」
見上げた碧生の頬はほんのり赤い。
(いま……なんて……)
「……あの日、そう言うつもりだった。でも気持ちを伝えられない……情けない自分に腹が立った」
「え……私が余計なこと言ったから怒ったんじゃなくて?」
「違うよ。俺さ、咲希から松田さんとお似合いって言われてショックで。改めて咲希は俺のこと同期としてしか見てないんだなって思ってさ」
その言葉に私はぶんぶんと首を振った。
「違う……ちが……っ」
「咲希?」
「私は……ずっと、碧生のことが好きだった」
驚いた顔をした碧生がすぐに涙で滲んでいく。
そしてすぐに碧生がスラックスのポケットからハンカチを差し出した。
「えっと、これ使って」
「ありがと……あの……洗って、新しい住所に送るね」
「ぷ。真面目すぎ、てか俺の記憶が正しかったら、俺ら両想いってことでしょ?」
私は涙を拭きながら、目を丸くする。無我夢中だったけれど、確かに碧生から好きだと言って貰えて、私も好きだと伝えた。
「あ、れ……ほんとだ」
「もう会わないつもり? また会えるでしょ?」
「えっと、会え……ます」
「だね」
碧生が長いまつげを下に向けて笑うのを見ながら、私も自然と笑みがこぼれる。
「でも、いいの?」
「なにが?」
「……なんか頭が今、すごいことなってるんだけど……その、私が碧生に好きになって貰える要素が全く見当たらなくて……そもそもタイプじゃないでしょ?」
「誰が言ったの?」
「それはずっと前に、碧生と翔太郎くんが夜、話してるの聞いちゃって……──好きなタイプは可愛いらしくて守ってあげたいタイプ……なんでしょ?」
私の言葉に碧生がこれでもかと深いため息を吐き出した。
「なるほどな……。てゆうかさ、どうせ立ち聞きするなら最後まで聞いて欲しかったけど」
見上げた碧生の頬はほんのり赤い。