恋心はシェアできない
※※

「はい。俺特製オムライス、おまちどうさま」

碧生がダイニングテーブルにオムライスがのっかったプレートを二つ置く。

「わ。おいしそう」

「ご存じの通り、料理は得意なんで。ついでに卵スープつき」

碧生はそう言ってスープ皿も置くと、冷蔵庫を開ける。

「咲希は麦茶でいいよな?」

「うん」

私は家で夜も仕事をするときはアルコールは控えている。空気を読んだ碧生は食事のあと、私がまた仕事をすると思って麦茶を提案したのだろう。

(ほんと気が利くよね)

会社でも『永井はかゆいところに手が届く』とよく部長が褒めている。同じ同期でも営業成績もトップクラスで将来を有望視され、上司や職場のみんなから好かれている碧生。

それに比べて愛想はいい方でない上に人付き合いも人並み程度にしかできず、未だに企画が通らない私。


(はぁ、近づくどころか遠くなるばっかり)

今もこんなに距離は近いけれど、碧生はどんどん遠くなる。先を歩いていく。私を置いて──。

「おーい。どした?」

彼がビール缶を手に私をのぞき込んでいて勝手に身体が跳ねた。
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