【短】悪女、悪魔に転生する。
****


 夜、寝ている最中にとつぜん部屋の電気をつけられたようなまぶしさが目に突き()さって、「う!」と思わず声が出た。

 引きずり起こされた意識で、急になに、と混乱してから、直前の記憶を思い出す。




『きゃーっ!』


『おぬし、人のうらみをたくさん買っておるのう』




 ――そうだ、あたし、死んだっぽいんだった。

 だったらあそこは死後の世界的な場所で、あの声は神さま的な存在?

 パズルのピースとピースがつながるように、急速に現状を理解したあと、あたしはムカムカして声を荒げた。




「おぎゃあ!おぎゃあああ!(ちょっと!うらまれてるのは あたしのせいじゃないわよ!)」




 死んだあとまで汚名(おめい)をかぶらなきゃいけないわけ!?と怒り心頭(しんとう)だった気持ちは、あたしの意思に反して聞こえた赤んぼうの声でパッと消える。
< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop