魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「うがっ……シ、シルウィー、早くこの場から去れっ! この女の言う通りだ……私は、お前を娘としてなど見ていないっ!」
「うるさいわねぇ……」
「ぐふぅっ……!」

 さらに圧力が強くなったのか、父は痙攣しそうになりながらも痛みに黙って耐え、私は見るに堪えないその姿に叫ぶ。

「やめなさい! それ以上やれば、私は、あなたを――」
「くふふ……どうしようと? 呪いをその身に取り込む力は持っていようと、所詮あなたは大した魔法も使えないただの娘。すべての魔法を扱えたマルグリットにはほど遠いわ。それとも、そこにいる精霊たちに、私をどうにかできるとでも……?」
「ううっ……」

 彼女から吹き出した、おどろおどろしい黒い瘴気が、私を潰そうと押し寄せる。能力のおかげで被害はないにしても、立ち向かうだけで心が折れそうになる深い闇に、私はその場に立っているだけで精一杯だ。

「……クククク。そういえば、もうひとつここまでやってきたあなたに、ご褒美を上げようと思うの。詳しく聞きたいでしょう? どうしてこんなことになったのか。お前(・・)の母親の死の真相」
「……まさか」
「――やめろぉっ! ぐはっ!」
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