魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 精霊の加護を受けたマルグリットはその絶大な魔力を聖なる力に変え、当時の精霊教会の巫女であり、ヴェロニカの母であったルネという女性の中に巣食う闇を消滅させた。

 そのことは表には出なかったが……以後、ラッフェンハイム帝国には平和が戻り、国民たちは一時の幸せを享受することとなる。

 そして、見事使命を果たしたマルグリットも、数々の功績により勲章や爵位を賜り、ひとりの男と恋に落ちて身を固めることになった。

 それが当時……帝国でも指折りの名家に属し、気品と優し気な風貌でたくさんの婦女子を虜にしていたゴディアであった。最初は軟弱そうな彼に興味がなかったマルグリットも、真摯かつ情熱的な彼のアプローチを何度を受けるうちに、心がだんだんと動かされていったのだ。

 やがて、マルグリットはひとりの子どもを身の内に宿す。

 マルグリットはゴディアといくつもの名前を考えた末に、その子を娘だと決め込むとシルウィーと名付けることにした。気の早い彼女はまだお腹の中にいる頃から、生まれてくる日を待ち侘びて声を掛け続け――その子が生まれた暁には、親子三人での忙しくも幸せな生活が約束されているはず……だった。
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