魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
だが、臨月を迎えてハクスリンゲン家が祝福のムードに湧きたっていた頃。
『ルネ、わざわざ見舞いに来てくれるなんて……!? いや…………お前は、闇の――!』
現れたのだ。再びそこへ――滅ぼしたはずの帝国の闇が。
精霊教会の巫女ルネは、闇の精霊を滅ぼして以後、本来の淑女としての姿を取り戻したかのように、献身的に周りの人々を支えていた。だからこそ、その姿にマルグリットも信頼を覚え、この国を共に支えていってくれるとを疑わなかったのだ。しかしある日、懐妊の祝いを述べに現れた彼女は、笑顔でマルグリットに近づくと……いきなり闇の魔力を振るい、恐ろしい呪いを掛けてきた。
『な、ぜ……。あの時……滅んだことを、確かに――』
マルグリットは、光の精霊から聞かされ、闇の精霊が赤いイヤリングを依り代に代々の巫女に寄生していることを知っていた。だからこそ、それに聖属性魔力を注ぎ込んで浄化し、最後に粉々に砕け散ったことをはっきりとこの目で確認したのだ。
だが……ルネはさっと左側の横髪をかき上げて見せた。
『――それは!』