魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……今さらなにを気色悪い。お前はもう用済みなのだが……もうひと働きしてもらうとするか」
「がっ……!」
ヴェロニカは、再び父に蹴りを入れて悶絶させると……私へと向き直り、恐ろしい提案を持ちかけてきた。
「さて、シルウィー。お前をここに呼んだのは他でもない。各地の呪いは消えてはおらず、その身の内に蓄えられているはずだ。おそらくマルグリットが出産の以前に、再度私の手にかからぬよう、なんらかの魔法をかけたせいだろうが……」
「…………?」
私はのろのろと顔をあげ、姿だけは非の打ちどころがなく美しい、闇の精を仰ぎ見た。すると彼女は、こちらを小さく手招きしてくる。
「わからないか? お前が今まで奪ってきた、私が振り撒いた災いの種を回収させてもらうと言っているのだ」
「そ……んなこと……‼」
目的は不明だとしても、ろくでもないことに使われることだけは分かる。
私はすべての意志を総動員させ、彼女の命令に逆らおうとする。
だが……続く行動がそれを大きく制止した。
「がっ……!」
ヴェロニカは、再び父に蹴りを入れて悶絶させると……私へと向き直り、恐ろしい提案を持ちかけてきた。
「さて、シルウィー。お前をここに呼んだのは他でもない。各地の呪いは消えてはおらず、その身の内に蓄えられているはずだ。おそらくマルグリットが出産の以前に、再度私の手にかからぬよう、なんらかの魔法をかけたせいだろうが……」
「…………?」
私はのろのろと顔をあげ、姿だけは非の打ちどころがなく美しい、闇の精を仰ぎ見た。すると彼女は、こちらを小さく手招きしてくる。
「わからないか? お前が今まで奪ってきた、私が振り撒いた災いの種を回収させてもらうと言っているのだ」
「そ……んなこと……‼」
目的は不明だとしても、ろくでもないことに使われることだけは分かる。
私はすべての意志を総動員させ、彼女の命令に逆らおうとする。
だが……続く行動がそれを大きく制止した。