魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
むしり取った五枚のビスケットを豪快に口に入れたクリム爺には腹が立つが、一軍の司令官と将軍が揃っていつまでもこんなガキっぽいやり取りをしているわけにもいかない。俺は表情を真面目に切り替え、眼下で陽光を反射して煌くベルージ王国の部隊を睨んだ。
「あんたから見てどう思う? 俺は本気で攻めて来るなら、そろそろかと思ってる」
「同感じゃな。兵たちの様子に緊張が見られるし、昨日までにはなかった準備物も見られる。なにか派手にやらかしてきそうじゃの」
するとがっしり腕を組んで、クリム爺も重々しく頷く。俺もそこまでは気付かなかった、やはり老兵の知恵はバカにできない。
これまでの攻めも、決して手を抜いていたわけではないのだろうが……それでも極力兵の損耗を防ぐように、無理な攻撃は仕掛けてこなかった。こちらの力量を測っていたというのもあるだろうが、戦力を温存しているのは明らかだ。
しかし、今回の戦いにおいて時間はこちらに味方するはず。各地からの援軍の存在が期待される今、やつらに本気でこちらに攻め込む気があるなら、やはり山場が今日か明日。
相手側の勝利条件は判然としない。こちら側の国境線を破った上である程度進軍し、ボースウィン領内にある村落の一般市民を人質に取って、帝国に領土移譲の交渉を迫るか、なんらかの金品などを要求するか。もしくは、今のところは報告は届いていないが、他国と共謀して帝国全土を征服にかかる可能性も、なくはない……。
「あんたから見てどう思う? 俺は本気で攻めて来るなら、そろそろかと思ってる」
「同感じゃな。兵たちの様子に緊張が見られるし、昨日までにはなかった準備物も見られる。なにか派手にやらかしてきそうじゃの」
するとがっしり腕を組んで、クリム爺も重々しく頷く。俺もそこまでは気付かなかった、やはり老兵の知恵はバカにできない。
これまでの攻めも、決して手を抜いていたわけではないのだろうが……それでも極力兵の損耗を防ぐように、無理な攻撃は仕掛けてこなかった。こちらの力量を測っていたというのもあるだろうが、戦力を温存しているのは明らかだ。
しかし、今回の戦いにおいて時間はこちらに味方するはず。各地からの援軍の存在が期待される今、やつらに本気でこちらに攻め込む気があるなら、やはり山場が今日か明日。
相手側の勝利条件は判然としない。こちら側の国境線を破った上である程度進軍し、ボースウィン領内にある村落の一般市民を人質に取って、帝国に領土移譲の交渉を迫るか、なんらかの金品などを要求するか。もしくは、今のところは報告は届いていないが、他国と共謀して帝国全土を征服にかかる可能性も、なくはない……。