魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「考えすぎても、分からんものは分からん。今出揃った材料で最善を尽くすしかあるまい」
「……そうだな」
逞しいクリム爺の腕が肩を叩き、俺も頷く。老人の長話はそれからも続いた。
「分かっとるな、お前だけは必ず生きて帰らねばならんぞ。この肩には、ボースウィン領の、ひいては帝国の未来がかかっとる」
「堅っ苦しいんだよ。領地のことはともかく、国なんて重たいもんまで背負わされちゃ敵わねえ。俺が戦うのは、あくまで俺の幸せのためだ。どうしても、この手で守りたいやつらがいるんでな」
俺にも、兵のひとりひとりにも、帰るべき場所と大切な人達がいるのは重々承知だ。戦いを躊躇うつもりはないが、犠牲は最小限に終わらせてみせる。そして、絶対にシルウィーのもとへ無事で帰り着く。
「ふっ……その意気があれば大丈夫じゃろう。わしも馳走になった分はしっかり働くとするかの。若いもんにまだまだ老いぼれ扱いさせてたまるか」
「息子の手柄まで奪ってやんなよ」
ぐるぐると腕を回して去ってゆくクリムを見送ると、俺は反対側に広がる、ラッフェンハイム帝国の領空に目を向けた。
「……そうだな」
逞しいクリム爺の腕が肩を叩き、俺も頷く。老人の長話はそれからも続いた。
「分かっとるな、お前だけは必ず生きて帰らねばならんぞ。この肩には、ボースウィン領の、ひいては帝国の未来がかかっとる」
「堅っ苦しいんだよ。領地のことはともかく、国なんて重たいもんまで背負わされちゃ敵わねえ。俺が戦うのは、あくまで俺の幸せのためだ。どうしても、この手で守りたいやつらがいるんでな」
俺にも、兵のひとりひとりにも、帰るべき場所と大切な人達がいるのは重々承知だ。戦いを躊躇うつもりはないが、犠牲は最小限に終わらせてみせる。そして、絶対にシルウィーのもとへ無事で帰り着く。
「ふっ……その意気があれば大丈夫じゃろう。わしも馳走になった分はしっかり働くとするかの。若いもんにまだまだ老いぼれ扱いさせてたまるか」
「息子の手柄まで奪ってやんなよ」
ぐるぐると腕を回して去ってゆくクリムを見送ると、俺は反対側に広がる、ラッフェンハイム帝国の領空に目を向けた。