魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 もしかして自分の首を絞める方向に彼女を押し出してしまったのかな、と若干笑みを引きつらせつつ、私はテレサの勧めに従って、膨大な衣装の中からこれはというものを選んでいく。

「うわぁ、こんなのもあるのね。大人っぽすぎないかしら……」
「妖艶さも慎ましい可憐さも、どちらも自らの存在を印象付ける女の武器ですから。お姉様も食わず嫌いなさらず、方向性の決まらないうちは目に付くものがあれば試してみるとよいですよ」

 がぜんやる気になったテレサに引きずられるようにして、私はあれこれとドレスやアクセサリーを取っては着け、ああだこうだ意見を交わす。

 すると今までは体裁を整える作業でしかなかった身支度も、不思議と楽しく思えてくる。新たな発見に胸を弾ませる傍らで、私の装いは少しずつ華やかに彩られていった。そして――。

「ど……どうかしら」

 ドレスの裾を摘まみ、鏡の前で振り返った私の姿を見たテレサが、ぱちぱちと手を叩いた。

「ばっちりです、お姉様!!」
「そ、そう……? 変じゃない?」
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