魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 手放しの賞賛を受けたにもかかわらず、いまいち自信が持てない私は、そのまま鏡の前でくるくると左右を振り返っては見え方を確認する。

 最終的に私が選んだのは、ラベンダーカラーのフリルをあちこちでふんだんに重ねた可愛らしいドレス。袖口が大きく広がり首周りもちょっとだけ開いていて、手を広げると羽ばたくように優雅なシルエットになる。
 屋敷では地味な服装で満足していたし、皇太子の婚約者ということで夜会にも顔を出す必要のなかった私からしたら大冒険だ。でも、今回はいずれこういうドレスも着てみたかったという、内なる欲求が勝利した。

 それに加え、首や耳にはパールが輝き、長い髪も半分以上が大きく巻き上げられ、ところどころに花の形の髪飾りがアクセントとして揺れている。

「素敵ですお姉様。黒い髪と綺麗なお肌のコントラストが、とても色っぽくて……」
「い、色っぽい……?」

 そんなこと言われても、低身長で童顔気味の私に大人な魅力は程遠いと鏡を見て再認識したが、まあ、いつもよりはそれでもマシ。
 自信満々のテレサに連れ出されて外に出ると、そこにはすでに、着替えを終えたスレイバート様の姿があった。

「おう、終わったか」
「んぎゅっ――――!」
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