魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ふふふ……もはや行き所もないかと思っていたが。さあ……かつてアルフリードにぶつけるはずだった余の想い、お前の身が砕け散るまで、存分に味わってもらおうか」
「なにからなにまで重てえ女……。悪いが、俺は婚約済みでな……踊ってやれんのは一回こっきりだ。気が済んだらとっとと他所の男を探しに行けよ!」

 女だから手を抜く、なんてことは到底不可能な難敵を前に、俺は半ばやけくそで吠え……剣を構えると、問題を息子に先送りにしやがった親父に、心の中で中指を立てた。
< 1,031 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop