魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
8.新たな英雄 -release-
戦況が、拮抗状態に陥る中……俺は事実上、ベルージ女王との一騎打ちを迫られていた。
特大の軍馬に跨り突進攻撃を仕掛ける、猛獣のような大女の攻撃は、それはもう恐ろしい。
「ハハッ、魔法が使えぬ中でよく余の攻撃を捌くものだ。最近の魔法士は肉体の鍛え方が足りんからな!」
「ぐっ……! そりゃ、あんたに比べりゃ大概の魔法士は貧弱なパセリみてーなもんだろうがよ!」
猛獣の牙のごとく、上下左右から放たれる鋼剣に何度も叩きおられては氷剣を生成し直す。
おそらく、あれも魔法で強度を高められた剣に違いない。こちらが並みの剣で受けても数合打ち合わせただけでひん曲がって使い物にならなくなるはずだから、とりあえずはこれで正解だ。今はこれで凌ぐ――。
しかしそんな中、ベルージ女王は一旦手を止めて不満そうに口元を曲げて見せる。
「だが、物足りんな……アルフリードの子よ。ただ攻撃を躱しているだけでは、余を討つことはできまい? それとも、こちらが女だと遠慮しているのか?」
「んな余裕はねえ。大体、俺の実力を見たいんなら魔法込みで戦わせろよ。親父だってあんたとそうして戦ったんだろ」
「いいや……アルフリードはあくまで私と対等な条件で打ち合い、圧倒してみせたさ。それに比べれば、お前はまだ未熟なひよっこだと言えよう。それでもそこいらの男どもよりは大分マシだがな」
「……そうかよ」
特大の軍馬に跨り突進攻撃を仕掛ける、猛獣のような大女の攻撃は、それはもう恐ろしい。
「ハハッ、魔法が使えぬ中でよく余の攻撃を捌くものだ。最近の魔法士は肉体の鍛え方が足りんからな!」
「ぐっ……! そりゃ、あんたに比べりゃ大概の魔法士は貧弱なパセリみてーなもんだろうがよ!」
猛獣の牙のごとく、上下左右から放たれる鋼剣に何度も叩きおられては氷剣を生成し直す。
おそらく、あれも魔法で強度を高められた剣に違いない。こちらが並みの剣で受けても数合打ち合わせただけでひん曲がって使い物にならなくなるはずだから、とりあえずはこれで正解だ。今はこれで凌ぐ――。
しかしそんな中、ベルージ女王は一旦手を止めて不満そうに口元を曲げて見せる。
「だが、物足りんな……アルフリードの子よ。ただ攻撃を躱しているだけでは、余を討つことはできまい? それとも、こちらが女だと遠慮しているのか?」
「んな余裕はねえ。大体、俺の実力を見たいんなら魔法込みで戦わせろよ。親父だってあんたとそうして戦ったんだろ」
「いいや……アルフリードはあくまで私と対等な条件で打ち合い、圧倒してみせたさ。それに比べれば、お前はまだ未熟なひよっこだと言えよう。それでもそこいらの男どもよりは大分マシだがな」
「……そうかよ」