魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 だが……俺は劣勢に陥りながらも、不思議とまだ自分の中のどこかから力が引き出せる気がしていた。
 親父の言葉を思い出す。

『――スレイバート、お前は間違いなく私よりも強くなる』

 死の淵で親父は、信じ切った瞳でそう言った。なら……絶対に俺の力はまだこんなもんじゃないはずだ……。

「…………おぉっ」
「――そうだ、そうこなくては……!」

 心の底から溢れ出した精神力を振り絞り、強引に押し返していく。

 ベルージ女王の声が喜ぶように上擦った。湧きだす力を剣に籠め直し、ゆっくりと体勢を立て直す。自分の力を信じる。それは、マルグリットに教えられたことでもある。ふたりの憧れの存在が、俺の背中を押している……ならば!

「俺は、俺だ! 親父の代わりじゃねえ! 喰らいやがれぇぇぇぇっ‼」

 頭が焼き切れるほどに力を込め、俺は目の前の鋼に向かって吠えた――持てる力も魔力も、叩き込む、すべてを……!
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