魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 いつかじゃない、越えるべきは――今!

 ――カシィィ――ン……。

 という音がして砕けたのは、氷ではなく鋼。

「…………――――――負けたよ」

 ベルージ女王の刃が合わさっていた場所で散り散りに砕け、破片がきらきらと輝きながら周囲へと舞い散る。
 そして彼女は、まるでそのまま斬り捨てろというように胸を開き、ギリギリで形を保った俺の剣を迎え入れる。

 俺は、その勢いのまま金色の甲冑に氷の剣を滑り込ませようとして――。

 ……しかし、目前でぴたりと止めた。

「……なんの真似だ」

 敗者への侮辱と取った女王が、期待外れの視線を俺へと向ける。返答次第では、力づくで俺の剣を奪い、自分の喉を貫きそうな勢いだ。だけど……。
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