魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
壁際にもたれかかっていた彼は、こちらを認めるとにこりと微笑む。その様子に私のどから変な悲鳴が絞り出された。
――とんでもなかった。反則的な美の化身がそこにはいる。
いつもの公爵然としたマント付きの衣装ではなく、美しいシルエットの黒いタキシード姿。そのシンプルさが、余計なものを一切排除したようなスレイバート様の容姿を引き立てる。そして普段目につく呪いの痕は、シルク製金糸縁取りのマスクや白粉、手袋などで見事に隠されているのだった。
いつものままでも見惚れるほどなのに、少し着飾った程度でもう私の想像など遥かに及ばないところへ行ってしまった。こんな彼が人の集まるパーティー会場に赴けば、もはや危険物――暴動が起きたっておかしくはない。
(今までどうしてたんだろう……)
場違いな感想を抱きつつもしばらくの間目が離せずにいると、彼の細長い足が踏み出された。
「へー……」
長い歩幅が瞬く間に距離を詰め、じっ――と私は近くから全身を眺められる。
――とんでもなかった。反則的な美の化身がそこにはいる。
いつもの公爵然としたマント付きの衣装ではなく、美しいシルエットの黒いタキシード姿。そのシンプルさが、余計なものを一切排除したようなスレイバート様の容姿を引き立てる。そして普段目につく呪いの痕は、シルク製金糸縁取りのマスクや白粉、手袋などで見事に隠されているのだった。
いつものままでも見惚れるほどなのに、少し着飾った程度でもう私の想像など遥かに及ばないところへ行ってしまった。こんな彼が人の集まるパーティー会場に赴けば、もはや危険物――暴動が起きたっておかしくはない。
(今までどうしてたんだろう……)
場違いな感想を抱きつつもしばらくの間目が離せずにいると、彼の細長い足が踏み出された。
「へー……」
長い歩幅が瞬く間に距離を詰め、じっ――と私は近くから全身を眺められる。