魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「もういいだろ。こんなのは」
俺は氷の剣を手元から消すと、真っ直ぐに女王を見つめた。
「俺は、誰かを殺して力を証明したりしたいわけじゃない。ただ、この領地のやつらとか、誇りとか、色んなものを守りたかっただけだ」
「…………だが、私は負けたのだ。お前に一騎打ちを挑んでおいて無様にな」
敗者には敗者の責任の取り方がある。そして、帝国とベルージ王国の二国は長い間争ってきた敵国同士だ。そうしなければ、今までの戦いで死んだ者も納得しない……彼女はそう言いたいのだと分かる。しかし、俺は……。
「そういうのを、変えていくのが強さなんじゃないのかよ? 流されずに、今まで続いてきたおかしいことや、色んな行き違いで起こった不幸とか、どうしようもない怒りとかを分かった上でさ……一度、自分を見つめ直して、知らなかった人たちのことを知ろうと、努力する。俺はあんたと刃を合わせていて思ったんだ。親父は、ひょっとしたらあんたがそういうことに気付いてくれるのを待ってたんじゃないか、って」
俺は、馬から飛び降りて、距離を取っていた女王へと歩み寄っていく。
すでにいつでも首を落とせる距離だ。味方が駆けつけて来ようとしたが、それでも首を振って押し止め……。
俺は氷の剣を手元から消すと、真っ直ぐに女王を見つめた。
「俺は、誰かを殺して力を証明したりしたいわけじゃない。ただ、この領地のやつらとか、誇りとか、色んなものを守りたかっただけだ」
「…………だが、私は負けたのだ。お前に一騎打ちを挑んでおいて無様にな」
敗者には敗者の責任の取り方がある。そして、帝国とベルージ王国の二国は長い間争ってきた敵国同士だ。そうしなければ、今までの戦いで死んだ者も納得しない……彼女はそう言いたいのだと分かる。しかし、俺は……。
「そういうのを、変えていくのが強さなんじゃないのかよ? 流されずに、今まで続いてきたおかしいことや、色んな行き違いで起こった不幸とか、どうしようもない怒りとかを分かった上でさ……一度、自分を見つめ直して、知らなかった人たちのことを知ろうと、努力する。俺はあんたと刃を合わせていて思ったんだ。親父は、ひょっとしたらあんたがそういうことに気付いてくれるのを待ってたんじゃないか、って」
俺は、馬から飛び降りて、距離を取っていた女王へと歩み寄っていく。
すでにいつでも首を落とせる距離だ。味方が駆けつけて来ようとしたが、それでも首を振って押し止め……。