魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 たとえ罪深くとも、許されずとも……各々の心の中に燻る、大切なものをこれ以上侵されたくないというそんな気持ちを奮い立たせ……ひとつの力にして振るうのが俺の――この地の領主として生まれた、スレイバート・ボースウィンとしての役目だ……!

「頼む! 俺も陣頭に出て剣を振るうから、この一戦だけは共に戦ってくれ! ここを乗り越えなきゃ、多くの人たちが飢えや戦で家族を失わずに済むような日は、永遠に訪れない! 今までは、ただ敵国に攻めてこられて、追い出すために仕方なく戦ってきたよな。でも……親父の代や、それよりもずっと前から戦ってきたことへの答えが、今繋がりかけてんだよ!」

 先程の、コルネリアスとの約束を見ていて、そう感じた兵士たちも多いはずだ。今、この地に大きな光が射している。親父と、顔も知らない母親が耐え抜き押さえ込んできた呪いを、シルウィーがやっと消してくれて……それ以前からも他にも名も知らないたくさんの人間が、この地の平和を守るためにかけがえのない命をいくつも落としてきた。その成果が、今この時に実を結ぼうとしているのなら……俺たちは、絶対にそれを無駄にするわけにはいかない!

「この一戦は、長い争いで痛みを抱えてきた俺たちが、それを終わらせるための戦いなんだ……! だからこそ俺はその勝利を、お前らと勝ち取りたい! 頼む、手を貸してくれ!」

 ――彼らの反応を待つ。俺の言葉は届いたのか……わからないが。
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