魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
魔物が結託して組織的な襲撃を掛けるという、この異常事態に対応しきれていない自分に歯噛みするしかない。
近づいてよりはっきりと姿を見せたディオニヒトが、「終幕だな」とほくそ笑んだのが見えた。
今や、両翼の陣形には大きなゆがみが生じ、魔物たちが薄くなった壁の部分を突破しようと殺到している。俺たちが下がらないともう保たない!
中央部隊に後退命令を出し、せめて単騎で皇太子のもとまで突入することを考えかけたその時――。
「ギシャァァァァァ!」「グエェェッ……ガッ!」
上空から、一斉に断末魔の悲鳴が上がる。
(なんだ……!?)
それとともに、盛んに吐き出されていた火球が今度は、帝国軍側の方に跳ね返された。見上げると、うっすらと緑の竜巻が、俺たちを囲むように巻き起こっている。それに空飛ぶ翼竜たちは巻き込まれ、次々と地面に落下していった。
よくよく見てみれば、いくつもの人影が空中に浮かんでいるのが見える。あれはおそらく、少数だが空中戦に特化した手練れの魔法士の部隊だ。しかも、それだけじゃない。
近づいてよりはっきりと姿を見せたディオニヒトが、「終幕だな」とほくそ笑んだのが見えた。
今や、両翼の陣形には大きなゆがみが生じ、魔物たちが薄くなった壁の部分を突破しようと殺到している。俺たちが下がらないともう保たない!
中央部隊に後退命令を出し、せめて単騎で皇太子のもとまで突入することを考えかけたその時――。
「ギシャァァァァァ!」「グエェェッ……ガッ!」
上空から、一斉に断末魔の悲鳴が上がる。
(なんだ……!?)
それとともに、盛んに吐き出されていた火球が今度は、帝国軍側の方に跳ね返された。見上げると、うっすらと緑の竜巻が、俺たちを囲むように巻き起こっている。それに空飛ぶ翼竜たちは巻き込まれ、次々と地面に落下していった。
よくよく見てみれば、いくつもの人影が空中に浮かんでいるのが見える。あれはおそらく、少数だが空中戦に特化した手練れの魔法士の部隊だ。しかも、それだけじゃない。