魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ルシドがいてくれることに、懐かしい心強さを感じながら、頭を下げかけた俺。
 だがそれを制すと、ルシドはある嬉しい報告をしてくれた。

「いいえ、スレイバート様。僕の方こそお礼を言わなければ……。あなたのおかげで、やっと心残りだった姉を助け出すことができました。それができたのも、この厳しくも優しい第二の故郷と……これまで僕を育ててくれた、あなたたちのおかげだ。だから僕は……この場所を守るためなら、何度だって戦います」

 ルシドがこうして一軍を率いてきたということは……共和国との交渉は――いや、今はそれはいい。

「そうか……恩に着る。それじゃ、左はお前に任せた。クリム爺も、今どんどん陣形を修正して足りない場所に人を送り込んでる。このまま右翼を持ち直したら、再度あそこで踏ん反り返ってる皇太子に――」
「どうやら、その必要はなさそうですよ」

 軽く目を見張ったルシドの視線の先に、同時に俺もある光景を認めた。それは――。

「ぐぉらぁぁあ! こっちを向きやがれ! テメェらの相手はオレたちだぁぁぁあああ‼」

 派手な爆発音が、右翼側を攻め込む魔物たちの後方に炸裂し、大きく統制が乱れる。
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