魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 自分の国を滅ぼそうというヴェロニカに従おうとする皇太子の考えを、赤髪は理解できないらしい。その点に関しては俺も同意だが……今はこちらを信用してもらうしかない。

「僕が少し帝国から離れていた間に、そんな事態が起こっていたんですね……。では、あの時にはもう……」

 一方で、実際に皇太子と相まみえたことのあるルシドには……比較的その狂気が伝わりやすかったのだろう。すぐに事情を呑み込むと、すぐにこちらの支援を請け負ってくれた。

「それじゃあ、クリム様の部隊と協力し、僕たちで帝国軍を押さえておきましょう。そのうちにスレイバート様はどうか、皇太子様を倒しに行ってください」

 そして赤髪も単細胞らしく、迷う素振りもなく判断を決めた。

「……だな。うっし……今回はまあ、ボースウィン領の戦いだ、美味しいところは全部お前に譲ってやるよ。ただ……これが終わったら、一度リュドベルク領に礼を言いに来いよな」

 戦況が好転したこの機を逃す手はない。

 言うが早いが、ふたりはそれぞれの方向に駆けだそうとした。
 それを俺は呼び止め――
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