魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「しかしいいだろう。貴様がこうして現れた以上、私自ら引導を渡すのも一興……! これまで我が顔に幾度も泥を塗った代償を、ここで贖え! その後はすべて根絶やしだ! この地も、民も、貴様の愛する女も、なにもかもなっ!」
御大層な演説の間にも知れた……おそらく、それは後者だ。こうして相対しているだけでも、以前とはまるで違うなにかが……やつの身体から溢れた強大な魔力から感じ取れる。
自然と、じとりとした汗がこちらの背中を濡らし……腰のレイピアを音もなく抜いたディオニヒトが、キレのある動きで真下へと振り下ろすと――
(こいつ……っ!)
宣告と共にその背後から噴き上がりしは……闇に汚染され黒味を増した、藍色の業火。
「さあ……下々が、いと貴き我が血筋を愚弄したこと……心の臓、爪の先、血の一滴から魂に至るまで後悔し、そして死ね――!」
御大層な演説の間にも知れた……おそらく、それは後者だ。こうして相対しているだけでも、以前とはまるで違うなにかが……やつの身体から溢れた強大な魔力から感じ取れる。
自然と、じとりとした汗がこちらの背中を濡らし……腰のレイピアを音もなく抜いたディオニヒトが、キレのある動きで真下へと振り下ろすと――
(こいつ……っ!)
宣告と共にその背後から噴き上がりしは……闇に汚染され黒味を増した、藍色の業火。
「さあ……下々が、いと貴き我が血筋を愚弄したこと……心の臓、爪の先、血の一滴から魂に至るまで後悔し、そして死ね――!」