魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それは周囲を爆発的な閃光で包み、影すら呑み込む。目が潰れそうな光の中で、ひたすら俺は目の前の存在に力をぶつける。
 似て非なる二色の魔力のせめぎ合いは拮抗し、延々と続くように思えた。しかし……。

「ふ、ふふ……はははははは。やはり、凡俗がどれほど力を絞り出そうと、そんなものよ! 連綿と受け継がれし王の血脈に……敵うものではないっ!」
「ぐ、くっ……」

 気が付けば、段々と俺の魔力はディオニヒトのものに押さえ付けられようとしていた。出力が弱まっているのかと思ったが、そうではない。

 やつの身体に、呪いが完全に浸透したのだ。強まったその魔力は今や漆黒へと染まりきり、もう人とは言えない身体から繰り出されるその膨大な出力が、俺の命を懸けた力を封殺する。

(ちくしょう……これでも、足りねえってのかよ……)

 耐え凌ぐことすらできない……。

 気を抜けば弾き飛ばされそうな圧倒的な破壊力に徐々に押し出され、背中で火柱の熱を感じ始めた俺の頭に、これまでのことが過ぎりだす。
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