魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 領主となるべく育てられた、長年の歳月。
 幼少期に出会ったマルグリットは俺に指針を与え、憧れとなってくれたが、若くして生涯を閉じた。家族との穏やかな生活も長くは続かず、呪いに倒れた父を見送った後は、ただただ妹と苦しみを押し隠す、涙すら枯れ果てるようなそんな日々……。

 そこに最後の希望として現れてくれたのが、賢者の娘シルウィーだった。勝手な都合を押し付けたせいで最初は中々相手にしてもらえなかったが……彼女は苦境にいる俺たちを見捨てることなく、目覚めた力で領地を明るく照らし出してくれた。

 呪いを解かれて以後……彼女と離れようとしたこともあった。
 だが、その意志を貫き通すことはできなかった。いつの間にかあいつに魅了されていたことを思い知らされたからだ……。

 ずっと長い間、孤独と向き合ってきたはずなのに……自分という存在から、目を背けられ続けてきたのに……。
 シルウィーは誰であろうと見捨てない。傷付いた人がいれば寄り添い、なにができなくとも、心を砕き辛さを分かち合おうとする……。そんな彼女だからこそ誰よりも幸せになってほしいと思った。

 そして――それを叶えるのは俺でありたい。彼女の隣にいて頼られることが……その笑顔を見ることが俺自身の幸せになるんだと、やっと自らが望む願いを見つけることができた。

 なのに、こんなところで俺は…………!
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