魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「シルウィーが待ってんだ……。ここでてめえなんかに、手こずってるわけには、いかねえんだよ!」
「…………む?」

 変化は、静かに始まっていた。
 両手で握りしめていた氷の剣が……ひび割れた状態から復元され、きらめきを取り戻していく。尽きかけていた魔力がどこからともなく湧き上がり、ディオニヒトの闇を退けた。

 違和感がやつの表情に広がったが、俺は構わずにそのまま刃を押し返していく。

「王が、血筋が、どうした……! そんなもんだけに、意味が宿るわけじゃねえ!」
「戯言を……優れた血に宿る力こそが、国を、世界を統べる! 貴様もそろそろそれを理解し、無様に這いつくばれ!」
「ふざ……けんな!」

 先程まで余裕を見せていたディオニヒトが、更に出力を上げ――だがそれに倍する勢いで、溢れ出した俺の力が状況を塗り替えてゆく――。

「てめえの力には、器だけで中身が入ってねえんだよ! 俺は、北の英雄アルフリードの息子で、精霊との合いの子だ……だけどな! それだけじゃなく、このボースウィン領に住まうひとりの人間なんだ! ずっと、この大地を守ってきた立派な人たちの背中を追って……支えられてここまで来た!」
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