魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
けれど、どうしても踏み越え難い、裂け目のようなものが目の前にぱっくりと開いているような感覚がある。
これまで私を、血筋抜きのひとりの人間として見てくれる人が誰もいなかったから。どうしても、彼らの期待に応えられなかった時のことを、考えてしまう。
(ふたりとも、そんな人じゃないって分かってるのに……)
私の心が弱いだけだ。いちいち考えず、頭もなにもかも空っぽにしてただ踊ればいいだけなのに、どうしても決心がつかない。
「あの、また今度に――」
足を後ろに引き、頭を下げようとした私。
その身体を、一歩前に出たスレイバート様が強引に引き寄せ、顔を合わさせた。
「ダメだ」
「――――っ」
すると、自然と密着する形になり、必然的に私は間近で顔の表情を確かめてしまう。
これまで私を、血筋抜きのひとりの人間として見てくれる人が誰もいなかったから。どうしても、彼らの期待に応えられなかった時のことを、考えてしまう。
(ふたりとも、そんな人じゃないって分かってるのに……)
私の心が弱いだけだ。いちいち考えず、頭もなにもかも空っぽにしてただ踊ればいいだけなのに、どうしても決心がつかない。
「あの、また今度に――」
足を後ろに引き、頭を下げようとした私。
その身体を、一歩前に出たスレイバート様が強引に引き寄せ、顔を合わさせた。
「ダメだ」
「――――っ」
すると、自然と密着する形になり、必然的に私は間近で顔の表情を確かめてしまう。