魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 あの時……もう既に身体の中の魔力はほとんど空っぽだった。なのに、こうしてディオニヒトを倒すことができたのは、明らかに俺自身の力じゃない。

(親父……だよな……。…………ありがとう)

 強く、誰かが背中を支えてくれていた気がする。きっと、不甲斐ない息子の姿を見兼ねて……彼がこの大地をずっと見守ってきてくれた者たちと共に、少しだけ力を貸してくれたのだろう。
 やっぱり、俺はまだまだひとりではなにもできない未熟者だ。

 だが、勝てた……今まで出会ってきた、皆のおかげで。

 そのことに小さく感謝を告げると、俺は足元から這い出そうとしているディオニヒトの手を踏みつけた。
 その中から、なにか怪しい魔道具のようなものが転げ落ちる。

「ぐうぁっ……。無礼者が、その足をどけろ!」
「てめえはこのまま拘束し、後で王都の裁判所に引き渡す。ラッフェンハイム帝国は仮にも法治国家だ。これだけの証言者がいて……皇族とはいえ、今度は言い逃れはさせねえぞ。刑に服すことを拒むなら、国ごと相手取ってやる。それとな……」
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