魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
これは個人的なことだが――俺はせめてもの意趣返しのつもりでディオニヒトの胸倉を掴み上げると、両目に怒りの焔を込めて思い切りやつを睨み付けた。
「残念だったな。お前はもう、俺には二度と勝てねえよ」
「…………ひ、うっ」
本当は数発殴りつけてやりたいが、もっと大事なことが後に控えているのだ……ここで今余計な体力は使いたくない。
これでこいつのプライドはへし折ってやれただろう。手を離したディオニヒトは大きく尻餅をつくと、その場に力なく項垂れた。
地面に投げ出された魔道具を拾い上げると、それはもう起動するところだったようだ。
フィ――――ン、と甲高い音を立てて、目の前の空間に楕円形をした光の渦が現れる。
「こいつは……転移魔法結晶ってやつか?」
俺は手の内の――どういう機構か分からないが、複数の金属環の中で淡い光を発し続ける宝玉を見つめた。
転移魔法――空間魔法をさらに高度化したもので、ラッフェンハイム帝国の長い歴史の間でも、限られた者しか使えなかったとされる、伝説の魔法。しかもそれを魔道具化したものとなると、現在の技術でも再現できない古代遺産と呼ばれる皇家の秘宝の類なのではないか。
「残念だったな。お前はもう、俺には二度と勝てねえよ」
「…………ひ、うっ」
本当は数発殴りつけてやりたいが、もっと大事なことが後に控えているのだ……ここで今余計な体力は使いたくない。
これでこいつのプライドはへし折ってやれただろう。手を離したディオニヒトは大きく尻餅をつくと、その場に力なく項垂れた。
地面に投げ出された魔道具を拾い上げると、それはもう起動するところだったようだ。
フィ――――ン、と甲高い音を立てて、目の前の空間に楕円形をした光の渦が現れる。
「こいつは……転移魔法結晶ってやつか?」
俺は手の内の――どういう機構か分からないが、複数の金属環の中で淡い光を発し続ける宝玉を見つめた。
転移魔法――空間魔法をさらに高度化したもので、ラッフェンハイム帝国の長い歴史の間でも、限られた者しか使えなかったとされる、伝説の魔法。しかもそれを魔道具化したものとなると、現在の技術でも再現できない古代遺産と呼ばれる皇家の秘宝の類なのではないか。