魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 となると、行き先は……。

「帝国の、宝物庫……。私も、この国が滅ぶというのは、本意では……」

 ぼそぼそと、その場から動かないディオニヒトが呟いている。ヴェロニカの精神支配から解き放たれたせいか……。
 ならば、これを通れば今すぐシルウィーのもとへと辿り着ける。

「ち……礼なんざ言わねえからな。お前は今までの勝手の罪をしっかり牢屋で償いやがれ」

 ディオニヒトはなにも言わず、諦めたようにその場に蹲ったままだ。それを苛立たし気に一瞥した後、俺が光の渦に飛び込もうとしたその時――。

「――お~~~~~~いっ! やったのか?」

 能天気な声に振り向くと、赤髪がこちらに走り寄ってくるところだった。

 ぼろぼろの姿からして向こうでもかなりの戦いがあったようだが、まだまだ元気を失っておらず……心の内でそのタフさだけは誉めてやった俺は、明かされた事情を共有していく。
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