魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ええ。近日中に改めて、そちら側との交渉が始まるかと思います。多少先走り気味でしたので、今回のことは帝国側にはご内密に」
「ああ、わかった」

 困ったように口元に指をひと添えして笑ったルシドに、彼のしてくれた無茶の大きさを感じつつも、俺はこの場に集ってくれた彼らに改めて頭を下げた。

「お前ら……本当にありがとよ。戻ってきたらゆっくりその辺りも含めて話をしようぜ。んじゃ……行ってくる」

 軽い別れの挨拶の後、いざ渦の中に足を踏み入れんとする俺にぶつけられたのは、励ましとも愚痴ともとれるような、三者三様のメッセージだ。

「負けて帰ってきたら、ぶっ殺すかんな!」
「必ず、シルウィー様と一緒に戻り、無事な姿を見せてください!」
「帝国はこれから一段と忙しくなりそうじゃからな。これ以上老いぼれを扱き使わんと、城に戻ってとっとと身を固めろ。悪ガキめ」

 そして、その後ろでも――。
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