魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 遠い王都の空を見て同じような表情をした後、ふたりは顔を見合わせる。

「……って、もしやあんたもシルウィー様に惚れたクチかぁ?」
「ごほごほっ……。それはまあ、色々……」
(シルウィー様も中々隅におけねーの。こりゃ、スレイバートがいなくても、オレにチャンスはなかったかもな)

 たちまち真っ赤になったルシドを、自分のことを棚上げにしてからかってやろうかと思うラルフだったが、そろそろこんなことをしている場合でもない。

 悄然と座り込んでいた皇太子が、クリムが連れてきた兵士に縛られどこかに連れて行かれ――その様を見ながら、彼は口を尖らせて呟いた。

「しっかし、こんなことになっちまって帝国もこの先どうなっちまうんだか」
「そうですね……。これからも色々と乗り越えるべき壁は多そうです」

 たとえ今回のことが無事に終わったとしても、皇位継承権の再考や、最高責任者が罪を侵すこととなった精霊教会の去就など、帝国に訪れる難題は山のようにありそうだ。
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