魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~

12.なによりも許せない結末 -loot-

「ふう……ちゃんと移動できたみたいだな」

 ディオニヒトから奪った魔道具による光の道の先は、ひとつの部屋へと続いていた。内部には価値のありそうな調度品や装飾品、武器防具などで溢れており、おそらくは聞いていた通り、ちゃんと王宮の宝物庫へと翔べたのだろう。

 部屋の鍵を内側から外し、周囲を窺いながら外に出てみるが、不思議と人の気配はない。王宮を訪れた記憶はあまりないが、歩いていると壁や床の様子が記憶のものと合致してくる。

 確か向こうを発ったのが正午頃だと言うことを考えても、やはり、この静けさは異様だ……そんなことを考えていると、廊下に倒れていた兵士の姿を発見する。

「おい、なにがあった!?」

 俺が駆け寄ると、彼は息を辛そうに荒げながら、なんとか目を薄く開けた。そして、こちらの姿を確認し、窓の外を指差す。

「大神殿の、真上から……。急に、瘴気が溢れ出して……王都は……」
「おい、大丈夫か! おい……!」
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