魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
ここから大神殿への距離は遠くなく、魔法士の足だと数分もかからない。
その間にも、あちこちで人が倒れひっそりと静まり返る街並みに危機感を募らせながら、俺はついに、その場所へと辿り着く……。
「…………この中にシルウィーが」
精霊教会の総本山である大神殿。
その前に立つと、俺は粟立つ自らの肩に触れた。そこからはもう、いかなる生命の気配もせず……まったくの無音だ。帝国の中でも三本指に数えられる白く荘厳な建物の真上には、まるで雷雲が降りたかのような黒い靄が群がり、それは少しずつ広がって王都中に湧き出している。
躊躇している暇はなく、すぐに中に踏み入ると中心部を目指す。
どちらの方角に行けばシルウィーたちがいるのかは簡単に分かった。奥に進めば進むほど、瘴気がさらに濃く、禍々しいものへと変わって行くのを肌で感じる。
ところどころで通路を照らす篝火が不気味に揺れる。
その間にも、あちこちで人が倒れひっそりと静まり返る街並みに危機感を募らせながら、俺はついに、その場所へと辿り着く……。
「…………この中にシルウィーが」
精霊教会の総本山である大神殿。
その前に立つと、俺は粟立つ自らの肩に触れた。そこからはもう、いかなる生命の気配もせず……まったくの無音だ。帝国の中でも三本指に数えられる白く荘厳な建物の真上には、まるで雷雲が降りたかのような黒い靄が群がり、それは少しずつ広がって王都中に湧き出している。
躊躇している暇はなく、すぐに中に踏み入ると中心部を目指す。
どちらの方角に行けばシルウィーたちがいるのかは簡単に分かった。奥に進めば進むほど、瘴気がさらに濃く、禍々しいものへと変わって行くのを肌で感じる。
ところどころで通路を照らす篝火が不気味に揺れる。