魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
聖属性魔法の使い手も多い教会員たちすら倒れている状況に戦慄しつつ、俺はひたすら、螺旋を描き徐々に中央へと近づく、内部の道のりを辿っていき……。
そしてようやく、ひとつの巨大な広間へと辿り着いた。
一対の女神が彫刻された、両開きの白塗りの扉……そこを力任せに押し開いた俺は、確信を持って室内で声を荒げた。
「シルウィー、どこだっ!」
中は暗闇で満たされ、どこになにがあるのかも判然としない。しかし、奥にあったいくつかの燭台に連続して火が灯ると、うっすらと内部の輪郭が浮かび上がり、返事が聞こえた。
だが、それは……期待していたシルウィーのものではなかった。
「ふふふ……お久しぶりね。ボースウィン公スレイバート殿」
「茶番はいい。そのフードを外せ、ヴェロニカ」
暗闇に溶け込んだローブの合間に、白い手足と顔が見える。
俺が苛立った様子で告げると、ヴェロニカはつまらなそうな溜め息を吐き、一段高くなった祭祀場の下にある、燭台の下で顔を晒した。
そしてようやく、ひとつの巨大な広間へと辿り着いた。
一対の女神が彫刻された、両開きの白塗りの扉……そこを力任せに押し開いた俺は、確信を持って室内で声を荒げた。
「シルウィー、どこだっ!」
中は暗闇で満たされ、どこになにがあるのかも判然としない。しかし、奥にあったいくつかの燭台に連続して火が灯ると、うっすらと内部の輪郭が浮かび上がり、返事が聞こえた。
だが、それは……期待していたシルウィーのものではなかった。
「ふふふ……お久しぶりね。ボースウィン公スレイバート殿」
「茶番はいい。そのフードを外せ、ヴェロニカ」
暗闇に溶け込んだローブの合間に、白い手足と顔が見える。
俺が苛立った様子で告げると、ヴェロニカはつまらなそうな溜め息を吐き、一段高くなった祭祀場の下にある、燭台の下で顔を晒した。