魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 金髪金瞳の蠱惑的な美女はこちらに品を作りつつ、可憐な淑女を装い微笑みかける。

「どうしたというのかしら? そんなにお怒りになって……今、王都では原因不明の瘴気が発生し、民から王族に至るまでその被害を免れることは叶いませんでした。なので、生来の聖なる魔力により難を逃れた私が、今からそれを除去する魔法を試みるところなのです。集中の妨げになりますので、どうか、今すぐここから立ち去ってはいただけませんか?」

 神聖な儀式だからと誤魔化そうとするヴェロニカに対し、俺は鋭く言葉を叩きつける。

「白々しいんだよ! 皇太子に話は聞いた……てめえがシルウィーを誘き寄せ、帝国滅亡に利用しようとしていることもな! いったいあいつはどこにいる!」

 すると彼女は途端に呆れたような顔をし、虚しい溜め息を吐いてみせた。

「あらあら……その様子だと、ディオニヒト様は敗れてしまったのね。絶対に勝利できるよう、余裕を持って調整(・・)したというのに……。ならば、こういうのはどう? 今度はあなたが私に協力してくれるというのは……。対価として、私がいかなる望みも叶えてあげる。この身体だって、いくらでも好きにしてくれようと構わないわ」
「へえ……そりゃ、面白い」
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