魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ヴェロニカはそのまま羽織っていたローブを脱ぎ捨てると、誘惑するようにドレスの肩口を引き下げ胸元をはだけて見せる。そのままゆっくりとこちらに踏み出す彼女を、俺もうっすらとした笑みで待ち受けてやる。

 高い足音と共に、ヴェロニカのうっとりとした視線がこちらに近づき、一歩、一歩と距離が迫る。それが、互いが手を伸ばせば触れ合えるところまで近づいた時――。

「シッ――――――!」
「――――――‼」

 俺とヴェロニカの間で魔力が勢いよく弾け、お互いの姿を照らした。

「……ちっ」
「……やはり一筋縄ではいかないか」

 接触の瞬間を狙って、俺はヴェロニカに致命傷を与えるつもりで聖氷の槍を放った。だが、それは相手も同じだったか、こちらに伸ばしていた黒い呪いの触腕と激突し、互いに消滅する。

 先制攻撃は成らなかったが、これで証明された。やつこそが……闇の魔力を使ってこのラッフェンハイム帝国を災禍に巻き込んだ張本人なのだと。
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