魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ペンダントが一際強く光る。雪のような純白の閃光が辺りを照らし――シルウィーの身体にしがみつこうとする闇の力を解いていった。同時に石の表面に浮かび上がっていた雪の花の模様が、朧げになり……消えてゆく。

「――――え? …………かあ、さん?」

 なぜだか……そんな言葉が口を突いて出た。
 心の奥底から、忘れていた懐かしいものが湧き上がろうとしたが、今は目の前にすべきことがある。その感情は必死に心の奥底に埋めた。

 ただ必死に両手に力を込めて、壊れそうに細い身体を抱き寄せ――そして願う。

「どこにも、いかないでくれ……シルウィー」

 俺が欲しい未来は、ただそれだけ…………――――――。

 白い光が、すべてを絞り尽くしたかのように一瞬、世界を塗り替えた。

「――お、の、れぇぇぇぇぇえええ…………!」
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