魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 どうせこいつのことだから、困っている人を見かけたら、またふらふら助けに行っちまうに決まってるんだ。

 そう思った俺は、お互いの顔を見えるように肩を掴んで少し身体を離すと、こう返した。

「でもいいさ。どこに行ったって、絶対に俺が迎えに行くから」

 それを聞いたシルウィーは……目を丸くすると、今までで一番明るい笑顔で笑ってくれた。
 それだけで、今まであった何もかもの出来事が、報われたような気がして――。

 こいつさえ側にいてくれたなら、どんな未来が訪れたって、もう怖くない。
 ただ……純粋に、そう思えたんだ。
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