魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
14.最初で最後の一言 -gift-
ここでは、他になにも存在しない――。
真っ暗闇に満たされた心の中で……私はぎゅっと自分の身体を縮めたまま、ぼんやりと放心していた――。
ヴェロニカ――もとい闇の精霊と対峙した後、彼女は罪深さに心が押し潰された私に妙な薬を飲ませた。そこからはおかげでずっと身体は動かせず、意識だけが鮮明な状態が続いた。
そしてその内、闇の精霊は私の意識に語り掛けて、これから彼女が実行しようとしている恐ろしい計画を明かし始めたのだ――。
『ふふふ……これから、お前の身体に帝国から集めたすべての呪いの力を注ぎ込んでやる。知っていたか? この帝国の中心にある王都の地下深くには、国土の四方に流れる大河から注ぎ込んだ地底湖が存在する。各地の大河から、その土地土地を司る精霊たちが溜め込んだ祝福の力を流れに乗せることでそれを地底湖へと集め、帝国発展の礎として来たのだ』
帝国の地理に明るくない私でもそのくらいは知っている。しばしば“聖十字流域”とも呼ばれるその場所は、精霊教会の人間に寄り秘匿され、厳重に護られているのだという。
真っ暗闇に満たされた心の中で……私はぎゅっと自分の身体を縮めたまま、ぼんやりと放心していた――。
ヴェロニカ――もとい闇の精霊と対峙した後、彼女は罪深さに心が押し潰された私に妙な薬を飲ませた。そこからはおかげでずっと身体は動かせず、意識だけが鮮明な状態が続いた。
そしてその内、闇の精霊は私の意識に語り掛けて、これから彼女が実行しようとしている恐ろしい計画を明かし始めたのだ――。
『ふふふ……これから、お前の身体に帝国から集めたすべての呪いの力を注ぎ込んでやる。知っていたか? この帝国の中心にある王都の地下深くには、国土の四方に流れる大河から注ぎ込んだ地底湖が存在する。各地の大河から、その土地土地を司る精霊たちが溜め込んだ祝福の力を流れに乗せることでそれを地底湖へと集め、帝国発展の礎として来たのだ』
帝国の地理に明るくない私でもそのくらいは知っている。しばしば“聖十字流域”とも呼ばれるその場所は、精霊教会の人間に寄り秘匿され、厳重に護られているのだという。