魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『ううっ…………苦しい』
息ができないほどの圧力に押し潰されそうになりながら、私は聞いた。ぴし、ぴし……と軋むような音を。
心の奥底にある、金色の揺り籠――母が編んでくれた魔法が悲鳴を上げているのが分かる。膨大すぎる闇の力に耐え切れなくなり始めているのだ。
『ああ……お願い、やめて!』
そう懇願するも、もちろん私の心の中の声など、誰にも響かない。
たったひとつ……母が私のために与えてくれたものが、無残にも壊されていく……。
その悲しい調べを聞きながら私の耳が捕らえたのは、この場に現れるはずのなかったひとりの人物の声だった。
『シルウィー、どこだっ!』
大好きな、スレイバート様の声がしている……。
息ができないほどの圧力に押し潰されそうになりながら、私は聞いた。ぴし、ぴし……と軋むような音を。
心の奥底にある、金色の揺り籠――母が編んでくれた魔法が悲鳴を上げているのが分かる。膨大すぎる闇の力に耐え切れなくなり始めているのだ。
『ああ……お願い、やめて!』
そう懇願するも、もちろん私の心の中の声など、誰にも響かない。
たったひとつ……母が私のために与えてくれたものが、無残にも壊されていく……。
その悲しい調べを聞きながら私の耳が捕らえたのは、この場に現れるはずのなかったひとりの人物の声だった。
『シルウィー、どこだっ!』
大好きな、スレイバート様の声がしている……。