魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ちなみに彼は当のレーフェルに実家があるらしく、頻繁にそことお城を行き来しているようだ。若いが優秀な風属性魔法の使い手であり、この間ちょっとした戦闘訓練を見せてもらったところ、木剣と風魔法の華麗な組み合わせは見事で、思わず手に汗握り興奮してしまった。

 テレサ曰く、城内の若手騎士の中でも一番将来を有望視されているんだとか。
 そんな彼は満面の笑顔で私に知りたくなかった事実を突き付けてきた。

「僕も父も、あなたには感謝しているんですよ。ボースウィン領に現れた奇跡の聖女シルウィー様。その存在のおかげで、よその土地に移り住んだけれど戻ってくる人もいるくらいなんですって」
「ちょっとやめてよ。恥ずかしい……」

 聖女だとか、あまりに大げさな呼称で呼ばれるとお尻がむずむずして仕方がない。
 自分のしたことが人々の噂に上るなんて、喜びよりも落ち着かない気持ちの方がずっと大きく、私はテレサに矛先を逸らした。

「それに聖女っていうなら、怪我人を治療できるテレサの方がずっとそれらしいじゃない。見た目だってこう、それらしいし」

 野暮ったく冴えない私より、清純で非の打ち所の無いご令嬢の彼女の方がその印象にはぴったりだと私が言ったのに、テレサはそれを即座に否定してしまう。
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