魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『理不尽にも、すべての闇が行きつく場所に生まれた私がこうなったのも、お前たち人間のせいだろう! 卓越した知能を武器として発展したお前たちは、豊かな大地を自分勝手に支配し、他の種族たちの何倍も多く憎しみと争いをばら撒いていく。その結果がこれだ……なにもおかしいことはない。私がしようとしているのは、自分たちの快楽のために大地の力をすべて奪い去った傲慢な人間たちへの、世界からの報復だ!』
「…………」

 その言葉に、ただとてつもなく深く激しい怒りを感じて、私は眉を顰めた。

 私たちは、毎日生きるのに必死で……周りの人々が幸せであることを望むがゆえに、その優しさをすべてに行き渡らせることはできない。必ずどこかに誰にも見向きもされず、搾取され、虐げられてしまう存在が出てきてしまうのかもしれない。

『人は、恐ろしく醜い生き物だ。たとえ他の生物がすべて死に絶える未来が予想できようと、自分たちの不足を満たすために発展を止めないだろう。そんなことを続けた結果、この世界に上げさせた形無き悲鳴を受け止めきれなくなり、あのひたすらな闇と、私のような存在が生まれた……』

 行き場のなくなった恨みつらみや……報われなかった悲しい気持ちが、祈りとは逆の形で世界を呪い……虚無の世界と、この闇の精霊を作り出したのだと、彼女は明かした。
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